社会福祉法人


平成29年4月1日に社会福祉法等の一部を改正する法律(平成28年法律第21号)が施行されました。
この法改正は、経営組織のガバナンスの強化、事業運営の透明性の向上、財務規律の強化が要求されており、社会福祉法人を取り巻く環境が大きく変化することとなっており、社会福祉法の改正のみでなく平成28年11月以後、事務連絡通知(制度改革の留意事項、Q&A、社会福祉充実残高、入札契約の取り扱い、所轄庁指導監査ガイドラインなど)が公表され、法人運営の実務にも影響が及ぶこととなっています。

 

また、社会福祉法施行令も公表され一定規模以上(※1)の社会福祉法人は、特定社会福祉社会福祉法人として会計監査人の設置及び内部管理体制の整備が義務付けられることとなり、公認会計士による監査の義務付けの制度が新設されています。

 

さらに、会計監査人の設置対象外の法人に対しても専門家の活用(※2)として公認会計士(監査法人含む)による「財務会計に関する内部統制の向上に対する支援」又は、税理士、公認会計士(監査法人含む)による「財務会計に関する事務処理体制の向上に対する支援」を活用することで内部統制・事務処理体制を整備していくことが望ましいとされています。 

(※1)特定社会福祉法人の範囲

平成29年12月18日 第20回社会保障審議会福祉部会 開催時点では以下の通りとされています。

平成29年度、平成30年度は、収益30億又は負債60億を超える法人

平成31年度、平成32年度は、収益20億又は負債40億を超える法人

平成33年度以降は、収益10億又は負債20億を超える法人

 

(※2)専門家の活用の規模

収益規模が10億未満の法人は事務処理体制支援が、将来会計監査人監査の対象となる予定の収益規模が10億超の法人は内部統制支援を活用することが望ましいとされています。


Audit


監査上のポイント

社会福祉法人を対象として行われる会計監査人監査は、一般事業会社と同様に一般に公正妥当と認められる監査基準(公認会計士協会が定める監査基準委員会報告書等)に基づいて行われることとなります。

ただし業種によって重点監査項目は異なっており、社会福祉法人に対する監査においては、法人が作成した計算書類のうち第一様式(法人全体)のみが意見表明の対象となっている点や法人の内部統制の整備・運用状況が適切か十分かの確認が重要監査事項となっている点が他の運営事業主体と比べて特徴的と言えます。

又、監査の結果について理事長や監事に対してマネジメントレター(監査実施結果報告書)を提出し、法人の課題や課題の改善に向けた有用な助言を行うことが求められています。

《まとめ》
1.法人全体の計算書類等に対して意見表明を行われます

2.法人の内部統制を重点的にチェックを行われます

3.マネジメントレターの提出により法人課題の改善へ向けた助言機能を発揮することが求められています

(出典:第2回社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会資料)


Advisory


内部統制支援

会計監査人の設置が必須とならない法人に対しても、公認会計士の活用が推奨されており、法人の事業規模や課題の状況により財務会計に関する内部統制の向上に対する支援を行います。

支援の例としては、ガバナンス体制、各種規程・業務手順の整備、職務分掌、予算実績分析体制等に対する支援、購買・固定資産管理・資金管理・人件費・収益・在庫管理等の各業務におけるリスクに対応した適切な手続きに対する支援、計算書類等の確定作業等に対する支援などがあります。

《まとめ》

1.長期的な視点から法人の発展をサポートします

2.業務の効率化をサポートします

3.各種規程のチェックや作成、運用のサポートをします

4.法人指導監査の周期が延びる可能性があります